時間制限のない穏やかなゲームとは、時計も負けも点数もない遊びのことです。大きな文字の文字さがし、ことわざの続き、少ない枚数の神経衰弱、ジグソーパズル、時間制限のないタブレットのパズルなどが向いています。同じチームになって、親のペースで、楽しいうちに終えるのがコツです。
家族でよく遊ぶゲームの多くは、早さを競うしくみになっています。早押しクイズやスピード勝負は、すばやく思い出すことが求められ、物忘れが気になってきた方にはちょうど負担になりやすいところです。この記事では、その反対に、ゆっくり考えるのが当たり前で、どの回も気持ちよく終われるゲームをご紹介します。
穏やかなゲームの5つの条件
ゲームを選ぶ前に、次の5つを確かめてみてください。
- 時計がない。 カウントダウンも砂時計も、「最高記録を目指そう」もなし。
- 負けがない。 全員が最後まで終われるか、勝ち負けそのものがない。
- 点数が見えない。 あるとしても、増えるだけの点数。
- 1回が短い。 5分以内で区切れて、いつでもやめやすい。
- 大人の雰囲気。 本物のトランプ、本物の言葉、本物の写真。子どものおもちゃに見えないもの。
2つ以上当てはまらない場合は、ルールを変えるか、別のゲームにしましょう。慣れた遊びの多くは、やさしく変えられます。点数をつけない七並べ、二人で一緒に考えるクロスワード、お茶を飲みながらの漢字パズルなども立派な穏やかなゲームです。
紙でできる穏やかなゲーム
紙のゲームは静かで、持ち運べて、途中でやめやすいのが良いところです。大きな文字のものを選び、握りやすい鉛筆やサインペンを用意しましょう。
- 文字さがし。 大きなマスに言葉が10個あれば十分です。つまずいたら最初の1文字を教えます。遊び方の工夫は高齢者向けワードサーチ(大きな文字)にまとめています。
- ことわざの続き。 「石の上にも」と言えば「三年」。長く親しんだ言い回しは、すっと出てくることがあります。問題の例はことわざクイズ高齢者向け50問にあります。
- 仲間はずれさがし。 4つのうち3つが同じ仲間。答えがひとつとは限らないところも楽しみです。
- まちがいさがし。 2枚の絵を並べて、時間を気にせずに。
- 点つなぎ。 1から25まで線を引くだけで、最後には道筋が完成します。
テーブルで遊ぶ穏やかなゲーム
テーブルを囲む遊びには、一緒にいる時間がついてきます。それがいちばんの楽しみかもしれません。
トランプ
- 柄分け。 よく切ったトランプを、ハート、ダイヤ、スペード、クラブの4つの山に分けます。ゴールも間違いもありません。
- 少ない枚数の神経衰弱。 4組から6組を伏せて、順番にめくります。難しければ表向きに並べて、組を作るだけでも十分です。
- 点数をつけない七並べ。 手札を見せ合いながら、一緒に並べていきます。
花札・かるた
花札は、同じ月の札を合わせる絵合わせとして遊べます。役や点数は数えず、きれいな絵を眺めながら組を作ります。かるたは取り合いをせず、読み札を読んでもらい、取り札を一緒にさがす形にすると穏やかです。
絵や物を使う遊び
- これは何でしょう。 袋から身近な道具を取り出して話します。茶こし、靴べら、古い硬貨など。
- 仲間分け。 食べもの、道具、動物の絵カードを混ぜて、仲間ごとに分けます。
- お買い物メモ。 品物を3つ書いて少しおしゃべりし、メモを一緒に見返します。メモは机に置いたままにして、覚えておく必要はありません。
ジグソーパズル
24ピースから100ピースくらいの、大きなピースで絵がはっきりしたものが向いています。まず端のピースを集め、お盆の上で作れば、続きはまた後で楽しめます。
タブレットで遊ぶ穏やかなゲーム
親がタブレットに慣れているなら、良い選択肢になります。選ぶときのポイントは次のとおりです。
- 大きくはっきりした文字と、大きなボタン。
- 広告やポップアップ、ゲーム内のお店がない。
- カウントダウンがない、または時間なしで遊べる設定がある。
- 音がやさしく、消すこともできる。
- やさしいレベルから始められる。
渡す前に、文字を大きくし、ホーム画面を整え、ゲームを最初のページに置いておきましょう。選び方は高齢者向けiPadゲームで詳しく紹介しています。
穏やかに遊ぶための約束ごと
どのゲームを選ぶかより、どう遊ぶかの方が大切です。
- 同じチームで遊ぶ。 「あなたの番」より「一緒にさがそう」。
- 考えを声に出す。 「ええと、『さ』で始まる言葉をさがしてるんだけど」と言えば、迷うのは普通のことだと伝わります。
- ヒントは惜しまない。 最初の1文字、仲間の名前、2つの選択肢。
- 飛ばすときは、さらりと。 難しいところは、何事もなかったように次へ。
- 小さな間違いは直さない。 答えがどちらでもよいなら、そのままに。
- やさしい問題で終える。 最後はすぐ解けるもので締めて、「楽しかった、ありがとう」と伝えます。
やめどきのサイン
ため息、紙を押しやる、「できない」をくり返す、口調がきつくなる、黙りこむ。そんなときはゲームを片付けて、音楽やお茶、短い散歩に切り替えましょう。早めにやめることは失敗ではありません。
印刷して使えるもの
SilverMindの印刷用プリントは大きな文字で、もともと時間制限がなく、答え付きです。
- ひらがな文字さがし:花と自然、ひらがな文字さがし:食べもの。
- ことわざを完成させよう、仲間はずれはどれ?。声に出して一緒に楽しめます。
- まちがいさがし:5つのちがい、点つなぎ:1から25まで。静かに楽しむ絵の遊び。
- おぼえて書こう:言葉の記憶。チームで取り組み、必要なら何度でも紙を開いて見返してかまいません。
手作りのアイデアも。
- 写真の神経衰弱。 家族の写真6枚を2枚ずつ印刷して、知っている顔で絵合わせをします。
- レシピカード。 よく作っていた料理の話をしながら、一緒に書きこむ白いカード。
- 今週のカレンダー。 1日にゲームひとつ、電話ひとつ、お出かけひとつを書く大きな紙。
SilverMindについて(私たちのアプリ)
私たちはSilverMindというiPhone・iPad向けアプリを作っています。高齢の方のための穏やかな28種類のエクササイズがあり、大きな文字、大きなボタン、広告なしです。時間制限のないエクササイズも多く、たとえばペアさがし、ことわざ完成、ミニナンプレ、昭和から平成の歌や暮らしを振り返るなつかしクイズは、自分のペースで遊べます。1日3つ、約6分の短いメニューを提案し、日本語に対応しています。ブラウザ版もsilvermind.app/playで使えます。SilverMindプレミアムは7日間の無料体験から始められます。
アプリは楽しみのひとつで、治療ではなく、どなたにも合うわけではありません。紙やテーブルのゲームも、同じくらい良い選択です。
期待しすぎないこと
どんなゲームにも、物忘れや認知症を止めたり、遅らせたり、元に戻したりする根拠はありません。穏やかなゲームの価値は、その日にもたらしてくれるもの、つまり楽しさ、「できた」という気持ち、並んで過ごす時間にあります。物忘れや気分、暮らしの中の変化が新しく出てきたり、急に進んだりしたときは、かかりつけ医に相談してください。
まとめ
時間制限のない穏やかなゲームは、時計がなく、負けがなく、1回が短いものです。大きな文字の文字さがし、少ない枚数のトランプ、花札の絵合わせ、時間なしのタブレットのパズルで、ゆったりした30分が過ごせます。同じチームで、ヒントは惜しまず、難しいところは飛ばし、二人とも笑顔のうちに終わりにしましょう。
参考情報
- 公益社団法人 認知症の人と家族の会 - 電話相談・家族の集い
- 国立長寿医療研究センター - 高齢者の医療と認知症に関する情報
- 厚生労働省 - 認知症施策や介護に関する公的な情報



