高齢の方にとって、年末年始やクリスマスは思い出がたくさん詰まった季節です。家族が集まり、おせちを囲み、昔ながらの行事を楽しむ、一年でいちばん温かい時期になることもあります。一方で、ひとり暮らしの方、施設に入居したばかりの方、認知症のある方にとっては、さみしさや疲れを感じやすい時期でもあります。
ここでは、高齢の親や祖父母と過ごす年末年始とクリスマスのアイデアを25個、場面別に紹介します。自宅で家族と過ごすとき、介護施設や高齢者住宅にいるとき、そして離れて暮らしているとき。大掃除や年賀状の準備から、大みそか、お正月三が日、七草がゆまで使えるアイデアです。
準備のポイント
- 本人にしかできない役割をお願いする。 楽しませてもらうより、「頼りにされている」と感じられることが大切です。
- 時間帯を選ぶ。 多くの高齢の方は、午前の遅い時間から午後の早い時間がいちばん元気です。夜遅くまでの宴会より、お昼の集まりのほうが楽しめることもあります。
- 静かに休める場所を用意する。 にぎやかになったときに一息つける、座り心地のよい椅子のある部屋を。
- いつもの行事に、小さな新しさを。 なじみのある行事は安心感をくれます。そこに小さな新しい楽しみを加えると、季節がより生き生きします。
自宅で家族と過ごすアイデア
- おせちやお雑煮を一緒に作る。 「おばあちゃんの家のお雑煮はどんな味だった?」と聞きながら、本人に指示をお願いしましょう。黒豆の味見や、かまぼこの盛りつけなど、分担しやすい作業がたくさんあります。
- お正月飾りを一緒に飾る。 鏡餅やしめ飾りを出しながら、「昔はどんなふうに飾っていたの?」と聞くと、自然と話がはずみます。
- 年賀状を書く。 宛名のリストを大きな字で用意し、書くのが大変なら文面を口で言ってもらって家族が書きます。
- 紅白歌合戦や懐かしの歌番組を見る。 若いころに聞いた歌謡曲や唱歌は、世代をこえて部屋をひとつにしてくれます。
- 年越しそばを一緒に食べる。 大みそかの夜が遅くなりすぎないよう、早めの時間にするのもひとつの方法です。
- 昔のお正月の写真を見る。 何十年分ものアルバムを広げ、名前と年を書き添えながら眺めましょう。
- お正月遊びをする。 かるた、百人一首、福笑い、すごろく、トランプ、花札は、孫とも一緒に楽しめます。答え付きの脳トレクイズを家族で出し合うのもおすすめです。
- 書き初めをする。 好きな言葉や今年の抱負を、筆ペンで気軽に書くだけでも十分です。
- 家の行事の由来を聞く。 「どうしてうちはこのお雑煮なの?」と聞いて、その答えを録音しておけば家族の記録になります。
- 近くの神社へ初詣に行く。 混雑する時間や寒い時間帯を避け、体調に合わせて短い時間で。
介護施設や高齢者住宅で過ごすアイデア
- 施設の行事に一緒に参加する。 クリスマス会、もちつき、新年会などは、家族がそばにいるとより楽しめます。
- 部屋を季節らしく飾る。 小さな鏡餅や干支の置物、年賀状を飾りましょう(飾りつけのルールは事前に施設に確認を)。
- 季節のおやつを持っていく。 食事制限がないか確認したうえで、同じフロアの方とも分けられるものを。
- 孫と一緒に面会に行く。 談話室で一、二曲歌を歌うなど、短く明るい時間がいちばんです。
- 思い出の箱を作る。 お気に入りの飾り、家族のレシピカード、懐かしい年賀状などを小さな箱にまとめます。
- 手紙や年賀状を読み上げる。 面会に来られない親戚からの便りを、声に出して読んであげましょう。
離れて暮らす家族ができること
- 「内容のある」ビデオ通話をする。 大人数でなんとなく話すだけだと、会話についていきにくいものです。クイズを出し合う、一緒に歌う、昔の写真を見せるなど、テーマを決めましょう。
- 贈り物やお年玉をビデオ通話で一緒に開ける。 孫の喜ぶ顔が見られると、祖父母もうれしいものです。
- 同じ料理を別々の台所で作る。 お雑煮を作って、出来上がりを見せ合いましょう。
- 「12月のお楽しみ封筒」を送る。 写真や孫の絵、簡単なパズルを入れた小さな封筒を、一日ひとつずつ開けてもらいます。
- 同じゲームを別々の場所で遊ぶ。 それぞれが毎日短いトレーニングをして、電話で結果を話します。私たちが作っている高齢の方向けのアプリSilverMindは、毎日3つの落ち着いたトレーニングを選んでくれます。ブラウザ版(silvermind.app/play)とiPhone・iPadで使えるので、家族が違う機器を使っていても一緒に参加でき、8種類のトレーニングは無料です。
ふだんの過ごし方のヒントは、高齢者が家で楽しめる室内の遊びと趣味にもまとめています。
ひとりで年末年始を過ごす方へ
- 電話の予定を先に決めておく。 「大みそかの夕方に電話するね」など、楽しみにできる予定があるだけで、長い休みが過ごしやすくなります。
- 地域の集まりに参加する。 地域の公民館や老人クラブ、お寺や神社、町内会の行事など、年末年始の集まりを調べておきましょう。
- できる範囲でボランティアをする。 地域の行事の準備などを手伝うと、一日に張り合いが生まれます。
- 自分だけのお正月リストを作る。 見たい番組、パズル雑誌、好きなお菓子、電話する相手、近所の散歩コースなど。孤独や不安について話したいときは、国の「あなたはひとりじゃない」のサイトで、悩みに合った相談窓口を探せます。
認知症のある方と過ごす年末年始
認知症のある方にとって、年末年始は人が増え、音がにぎやかになり、生活のリズムも変わりやすい時期です。次のような工夫が役立ちます。
- 集まる人数を少なめにして、落ち着いた雰囲気に。
- いつもの生活リズムをできるだけ守る。
- 集まりは昼の時間に。 夕方以降は疲れや混乱が出やすくなります。
- なじみのある簡単な作業をお願いする。 食器を並べる、お餅を丸める、おしぼりをたたむなど。
- 来客には事前に様子を伝えておく。 物忘れや様子の変化を知っておいてもらうと、お互いに安心です。
- 静かに休める部屋を用意し、なじみのある音楽を流す。
介護や接し方の悩みは、公益社団法人 認知症の人と家族の会の電話相談(0120-294-456、平日10時〜15時)でも相談できます。帰省して親の物忘れが気になったときは、親の物忘れがひどいと感じたらも参考にしてください。
贈り物もいっしょに
プレゼントを考えている方は、おじいちゃん・おばあちゃんへのプレゼント25選もご覧ください。いちばん喜ばれる贈り物には、たいてい「一緒に過ごす時間」がついてきます。
介護する人も、がんばりすぎない
準備や料理、介護を担っている方は、どうか「ちゃんとやらなきゃ」と思いすぎないでください。短めの帰省、簡単なおせち、行事を少し減らしたお正月でも、十分に良い年末年始になります。手伝いの申し出には甘え、親戚で役割を分け合いましょう。
参考情報
- 公益社団法人 認知症の人と家族の会 - 電話相談・家族の集い
- あなたはひとりじゃない - 政府の孤独・孤立対策による相談窓口の案内


